ドイツは、ヨーロッパのなかでは治安が良いとされています。
でも、それはヨーロッパの中で比較した場合の話であって、ドイツが本当に安全な国だと言えるのでしょうか。
安全の基準は国それぞれ、人それぞれあると思いますが、やはり日本と同じ感覚でいてはいけません。
目次
ドイツの犯罪発生率
どの程度の犯罪があるのか、細かい数値は分かりませんが、分かりやすい例を見つけたのでご紹介します。
一般的にドイツは、ヨーロッパの中では比較的安全な国とのイメージを持たれています。しかしながら、ドイツ連邦警察の発表によれば、2021年のドイツ国内全体の犯罪発生件数は約505万件であり、人口10万人当たりの犯罪発生件数は日本の約10倍に上ります(ドイツの人口は約8,300万人)
外務省 海外安全ホームページ
じゅじゅじゅ 10倍!?
私は日々、日本のニュースもチェックしており、日本で色々物騒な事件が発生しているのを目にする度に、あぁ日本も平和とはいえなくなってきたな、と嘆いていたのですが、この「犯罪発生件数は日本の約10倍」というのを聞くと、やはり日本はまだまだ平和なのだなと実感します。
ただ、犯罪種別では、スリなどの窃盗や、傷害や暴行、恐喝などの、どちらかというとシンプルな(と言っていいのかどうか)金銭目的のものが犯罪件数の数字を押し上げているようです。
ドイツでは、スリ・置き引きに注意
ドイツの、特に都市部、繁華街では、スリ・置き引きによる盗難被害が多発、増加傾向にあります。
逆に、殺人などの生死に関わる犯罪は少ないようですが(スリや置き引きに比べれば少ないだけで、勿論あることはある)、何であろうが被害に遭わないに越したことはありません。
連邦警察等の関係当局によると、多くのケースにおいてプロの国際犯罪集団が関与しているとされる。通常3人~6人ほどのグループに分かれて行動していることが明らかになっている。
手口としては、実行犯の一人が周囲を観察し、もう一人が被害者の注意を引き、そして残りの一人が窃盗を行うのが常套手段となっている。例えば一人が被害者に時刻表の読み方を尋ねている間に、もう一人がスーツケースや鞄を盗むという具合である。
連邦警察は、不用意に人前で現金を取り出さず、現金、クレジットカード、証明書等の貴重品は常に肌身離さず、例えばファスナーの付いた上着の内ポケット等に携行するように呼びかけている。また列車内においても同様に注意が必要である。
在フランクフルト総領事館メルマガより
電車(ICE)内とその乗車前後、乗車券を買う時
多いのが、電車(ICE)内またはその乗車前後。
【手口】
- 列車内で立っていたところ,男の人に声を掛けられ,話が終わったころリュックサックのポケットの中身が全て無くなっていた。
- 列車内にて,隣に座った男に,足下においたバックを奪われ,発車前に逃げられた。
- ICEで移動中,網棚に貴重品の入ったキャリーバックを置き,気がついたら無くなっていた。
- 駅構内で,上着にペンキのような白い液体がついていると声を掛けられ上着を脱いだところ,床に置いたカバンがなくなっていた。
【対策】
- 貴重品等は内ポケットに入れるなど,肌身離さず所持し警戒を怠らない。
- カバンは身体の前に持ち,上から手を添える。
- 必要以上の現金を持ち歩かない。
在フランクフルト総領事館メルマガより
もう一点、対策を付け加えるならば、知らない人から声をかけられても自分の荷物から注意を逸らさない、むしろ声をかけられた時こそ要注意です。
個人的な感覚ですが、ドイツ人は基本的にそんな気さくに話しかけてきませんし、ドイツ以外の外国人が道や時刻を尋ねてくるとしたって、わざわざアジア人に尋ねてくる事自体がおかしいです。
突然ぶつかってくる事もあるようですので、とにかく、人と接触したら要注意です。
乗車券の券売機周辺でも発生しているらしく、買い方が分からない旅行者が券売機に夢中になっている隙に盗んだり、または親切に買うのを手伝ってくれて、最後に手数料を出せとすごむ場合もあるそうです。
券売機では分からなくても分からない素振りはせず、誰かが近づいてきたら要注意!
声をかけてきたら「Nein, Danke.(いいえ結構です)」、明らかに嫌がらせと分かる様な場合は 「Lassen Sie mich in Ruhe(ラッセン ズィー ミッヒ イン ルーエ)」と言うといいようです。
直訳すると「私を平穏にいさせて」ですが、「ほうっておいて」「こっちに来ないで」の意味で使えます。
(在フランクフルト総領事館からの防犯アドバイスより。記事最後にまとめて掲載しています)。
無視して離れた別の券売機にスッと移動しちゃうのもテ。
ホテル内のチェックイン時や朝食時
ホテルでのチェックイン時や朝食時にもスリや置き引きが多発しているそうです。
事例としては
- 朝食ビュッフェで、バッグを座席に置いたまま料理を取りに行ったところ、何者かにバッグを盗まれてしまった。
- 椅子の背もたれにバックを置き、背中で挟みながら食事していたところ、気がついたらバックを盗まれていた。
- チェックイン(チェックアウト)時に、足下に置いていた荷物を盗まれてしまった。
など。
基本的に荷物は肌身離さず持っているべし。
チェックイン・アウト時は荷物を持ち続けるのは難しいかもしれませんが、置くなら足とカウンターの間に挟むように置くとか、スリがそこらにいるのだという認識、危機感が必要です。
というか、1番めの「バッグを座席に置いたまま料理を取りに」って、これは油断しすぎでしょー。
ニセ警察官による窃盗
高度な犯罪ではニセ警察官による窃盗というものがあるようで、自称警察官に、薬物捜査のためカバンの中を確認したいと言ってきたり、カード類の提示を求められ、中身を確認するふりをして紙幣を抜き取られる被害があるそうです。
これはたちが悪い!舘ひろし!
(いや、舘ひろしは何も悪くなくて、そういえば危ない刑事やってたなーと…)
こういう時の対処法。
犯人らは,身分証のようなものを一瞬提示した後
「先ほどあなたに話しかけた男は,我々が内偵捜査をしている重要参考人である。あなたが共犯者でないなら,身分証を出して証明しなさい」
「薬物捜査のため,あなたの手荷物を検査する」
等とまくしたて,言葉巧みに財布の提示を求めてきます。あなたが何の犯罪も犯していないにも係わらず,警察官を名乗る人物から職務質問を受けた場合には,以下のとおり対応されることをおすすめします。
- 相手のドイツ語あるいは英語がわからない場合,中途半端に対応せずに,日本語でもいいので制服警察官の臨場を求める。
- 警察官の身分証(Dienstausweis)の再提示を求め,必要に応じて記載内容を記録する。なお,警察官の身分証には,必ず「POLIZEI」等と記載されています。
- 全ての警察官に付与されているID番号を聞いたうえで110番通報(英語可)し,そのようなID番号を持つ警察官が存在するかどうか確認する。本物の警察官であれば,自らすすんで110番通報するなど,こちらが納得するまで身分の証明に務めます。
在フランクフルト日本国総領事館メルマガより
警察への電話番号は上記の通り、日本と同じ110。英語も可能。
「あなたの職務証明書を見せてください」と言うなら
「Zeigen Sie mir bitte Ihren Dienstausweis. ツァイゲン ズィー ミア ビッテ イエレン ディーンストアウスヴァイス」
「あなたのID番号は何ですか?」と言うなら
「Was ist Ihre ID Nummer? ヴァス イスト イエレ イーデー ヌマー?」
または
「あなたのID番号を教えて(言って)ください。」と言うなら
「Sagen Sie mir bitte Ihre ID Nummer. ザーゲン ズィー ミア ビッテ イエレ イーデー ヌマー」
「私は警察に電話して確認します」をドイツ語で言うなら、
「Ich rufe die Polizei an, um mich zu vergewissern(イッヒ ルーフェ ディ ポリツァイ アン、ウム ミッヒ ツー フェアゲヴィッサーン)」
※「確認する」は「bestätigen(ベシュテティゲン)」という動詞がありますが、これだと「断言する」「肯定する」的な意味で、予約の再確認、仕事のミスの有無の確認などには適しますが、ここでは「見極める」の意味の「vergewissern」が適しています(by 夫)。
ただ、これだと長いですし、ドイツ語に慣れていないと咄嗟に出てくる事はかなり厳しいので、
「警察に電話をします」 = 「Ich rufe die Polizei an」
だけでも十分だと思います。
この、ニセ◯◯シリーズは他にもあって、ニセ◯◯点検員(例えばガス点検)などもいるようで、これは実際ドイツに住んでいる者としては厄介。
でも、点検員などの場合、管理人から事前に連絡があるか、管理人と一緒に訪問するのが基本なので、点検員一人で突然現れた場合は疑うべきだと思います。
テロの危険
ドイツでのテロは私の知る限り以前ほど発生していません。
昨今はコロナやウクライナ戦争などでテロは影を薄めている感じがします(実際にも人々の心からも)。
ただ、いつ起こるものか分からないので、気に留めておく必要はあると思います。
先にEUでの例になりますが、
- 2015年11月13日(金) フランス パリパリ同時多発テロ事件
- 2016年3月22日(火) ベルギー首都ブリュッセルのザベンテム国際空港と地下鉄のマルベーク駅 ブリュッセルの爆発事故
- 2016年7月14日(木) フランスのニース フランストラックテロ事件
があります。
ドイツで起きたテロを以下にまとめています。
ドイツで起きたテロ
日付 | 場所 | 詳細 | 被害 | 犯人 |
---|---|---|---|---|
2016年 7/18(月) |
ヴュルツブルク | 列車内で斧とナイフで乗客に襲いかかる | 5名重軽傷 | 17歳アフガニスタン出身の難民男性。逃亡後射殺 |
2016年 7/24(日) |
アンスバッハ | 野外音楽フェスティバルの会場付近で爆発事件 | 15名負傷 | 27歳シリア人男性。ドイツで難民申請を却下された過去を持つ。死亡 |
2016年 12/19(月) |
ベルリン | クリスマスマーケットにトラックが突入 | 12人死亡、48人負傷 | 24歳チュニジア国籍の男性。逃亡後イタリア・ミラノで射殺 |
2016年7月18日(月)のヴュルツブルク斧襲撃事件に関しては、住んでいる街ヴュルツブルクでの事件という事もあり別ページを設け、ヴュルツブルグ斧襲撃事件 で書いています。
こうやって例をあげてみると、全てではないですが曜日に関連はなく大きなイベントが狙われています。
それから、ドイツに関わらず海外旅行の計画をたてている方は、念のため、イスラム教の大きなイベント、ラマダンやイード・アル=アドハー(犠牲祭)などの期間は、避けれるなら避けた方が無難かもしれません。
- 2024年のラマダン: 3月11日~4月12日頃
- 2024年のイード・アル=アドハー: 6月16日~6月20日頃
- 2024年のアーシューラー: 7月16日~7月17日
- 2024年のアルバイーン: 8月25日~8月26日
移民による事件
テロではないですが、移民による事件も起きています。
移民が起こした事件で注目されたものをまとめています。
ドイツでの移民による事件で注目されたもの
日付 | 場所 | 詳細 | 被害 | 犯人 |
---|---|---|---|---|
2015年 12/31(月) |
ケルン他 | 移民による女性に対する集団強盗・性的暴行事件。事件後、各メディアが速やかに報道しなかった事も人々の怒りを買う ※詳細はWikiにて |
被害届516件(うち強姦3件) | アラブ人・北アフリカ人を主体とした約1000名、犯人はほぼ捕まっていない |
2016年 7/22(金) |
ミュンヘン | ショピングモールで銃乱射事件 | 10人死亡(20歳1人、45歳1人の他は全て10代)、27人負傷 | 18歳のイラン系のドイツ人男性。事件後自殺 |
2016年 10/15(土) |
フライブルク | 強姦殺人事件。 同市では他にも27歳女性が強姦殺人死体で発見されており関連を調べている |
19歳のドイツ人女子医学生死亡 | 17歳アフガニスタン人男性(難民申請中)。DNA一致と防犯カメラの映像より12/3逮捕。犯人逮捕後、公共放送局「ARD」(日本で言うNHKの様な立ち位置)が、この事件を一切報じなかった事でも炎上。 |
2017年7/28(金) | ハンブルク | スーパーマーケットで大型刃物を持った男が暴れる | 1人死亡、6人負傷 | アラブ首長国連邦生まれのパレスチナ人26歳男性を逮捕。難民申請したが却下された過去あり。精神疾患の疑い。 |
2017年7/30(日) | コンスタンツ | ナイトクラブで銃発泡 | 1人死亡、4人負傷 | クラブ所有者の義理の息子。難民としてドイツに居住、警察との銃撃戦で死亡。 |
2018年 5/23(水) |
ヴィースバーデン | 強姦殺人事件(日付は少女が行方不明になった日) | 14歳の少女死亡 | 20歳の(おそらく)イラク人男性(難民申請中)。家族と共に逃亡したがイラク北部で身柄を拘束。ドイツ滞在中、強盗の容疑、飛び出しナイフの所持で何度か警察の厄介になった過去あり。同じ難民収容施設で暮らしていた11歳の少女に他の容疑者らと共に性的暴行を働いた容疑もある。 |
2018年 7/20(金) |
リューベック | 路線バスの中で男がナイフで乗客らを無差別に切りつけ | 7人負傷、3人重傷 | イラン生まれのドイツ国籍34歳男性。乗客に取り押さえられ警察に引き渡された。 |
2018年 8/26(日) |
ケムニッツ | 地元の祭りで口論の末、刺殺 | 35歳のドイツ人男性死亡 | 難民申請者のイラク出身の22歳、シリア出身の23歳の男が逮捕された。 |
2019年 7/29(月) |
フランクフルト | 中央駅のホームから面識のない親子を突き落とす | 母親は助かったが8歳の男の子が死亡 | エリトリアからの難民の男が逮捕された。 |
2019年 7/31(水) |
シュトゥッツガルト | 刺殺 | 36歳のドイツ人が死亡 | 28歳の難民のシリア人が逮捕された。被害者とは家主と店子の関係。 |
2019年 10/7(月) |
リンブルク | トラックを奪い暴走、他の車両に衝突 | 8人負傷 | シリア国籍の30代男性が逮捕された。 |
2021年 6/25(金) |
ヴュルツブルク | 広場で刃物で人々に襲いかかる | 3人死亡、6人負傷 | 24歳ソマリア人男性が逮捕された。家宅捜索でテロ組織DEASH(ISIL)のものである物資を発見。ただ精神病を患っているという情報もあり、テロなのか個人が起こした事件なのか不明 |
2021年 11/6(土) |
レーゲンスブルクからニュルンベルクへ移動していた列車(ICE)内 | 広場で刃物で人々に襲いかかる | 3人重傷 | 27歳シリア人男性が逮捕された。 |
2021年 11/6(土) |
ミュンヘン中心部の衣料品店 | 包丁で少年の首と肩に傷害を負わせる | 10歳の少年が重傷 | 57歳の無国籍男性が逮捕された。 |
ドイツ人が起こす事件も勿論ある
じゃあ、移民・難民の外国人に注意していればいいのね、と早合点してはいけません。
どの国にだって頭のおかしい人がいる様に、ドイツにだって頭のおかしい人はいます。
日本でもニュースになったのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
2016年5月ドイツ東部デッサウで、中国人留学生(25歳女性)がドイツ人カップルに残虐な行為をされた挙句に殺害されるという猟奇的な事件が起こりました(正確には残虐行為をしたのは男で女は共犯)。
この事件、始まりから悪質で、カップルの女の方が引き込み役で、中国人留学生がジョギングしている時に、女が声をかけてきて助けを求め(助けがどういう助けなのか、何かを手伝ってほしいと頼んだのか詳細は分かりませんが)、家の中に引き入れたとのこと。
犯人の家と中国人留学生の家が数メートルの距離だった事を考えると(犯人の家と中国人留学生の家の距離間図(Mitteldeutschen Zeitung))、道ですれ違ったりなど、多少顔くらいは知っている間柄だったのではないでしょうか(←これはあくまで私の推測)。
この事件から言えることは、例え相手が女性でもご近所さんでも、見知らぬ人の家に入ってはいけないという事。
本当に善意で家に招待してくれる人もいることでしょう。
それでも「いつ、誰と、どこに行く」という情報は誰かに告げて行くべきだと思います。
» 事件全容 Mordfall Li Yangjie(Wikipedia)
極右によるデモや暴力事件
テロや移民による事件に比例して、当然ですが、それに対する極右やネオナチによるデモや暴力事件もあります。
「私は難民でもないしイスラム系じゃないから」と安心すべきではありません。
極右は要は民族主義者ですので、彼らにとってはイスラム系だろうがアジア系だろうが同じ移民で排除すべき対象なのです。
日付 | 場所 | 詳細 | 被害 | 犯人 |
---|---|---|---|---|
2019年 1/1(火) |
ボトロップ | 新年を祝うため街頭に集まっていた人々に車が突っ込む | シリア人ら計5人が負傷 | 50歳ドイツ人男性を逮捕。「外国人を殺そうという明確な意図があった」とのこと |
2019年 6/2(日) |
カッセル | 移民擁護派の地方政治家が撃たれる | Walter Luebcke県知事 死亡 | 勾留中の45歳の男が殺害を認めている |
2019年 8/11(日) |
ヴィッテナウ駅 | ベンチで赤ちゃんと一緒に座っていたトルコ人女性2人が金属製の物で襲われる | トルコ人女性2人 | 周囲の人に取り押さえられ、警察に引き渡された攻撃犯(37歳)は「ドイツ語を話してもらいたいと思い行動に移した」と無茶苦茶な言い訳 |
2019年 10/9(水) ユダヤ教の神聖な祝日 |
ハレ | ユダヤ教礼拝所周辺にて発砲 | 2人死亡、2人負傷 | 反ユダヤ的な極右思想を持ったドイツ人の男(27歳)が拘束された |
2020年 2/19(水) |
ハーナウ | シーシャ(水たばこ)バーで銃撃 | 9人死亡、6人負傷 | ドイツ人の男(43歳)が逃走後、自宅で遺体で発見 |
バイエルン州は比較的平和…だったけど
欧州では治安が良いと言われるドイツ国内で、さらに治安が良いと言われているのがバイエルン州とバーデン・ヴュルテンベルク州。
ただ、それでも最近は外国人による盗みが横行しているようです。
夫の家族がバイエルン州の田舎町に住んでいるのですが、その町で数件起きたのが以下のような事件。
ある日、ピンポーンと人が訪ねてきて「寄付をしてくれませんか」などと相談を持ちかけてくる。
でもそれは実はおとりで、話しているうちにもう一人が裏口から入って金銭や物品を盗んでいくというもの。
彼らは移民ではないにしろ外国人なので、そのまま国外へ逃亡してしまい捕まえることができないそうです(上記で述べたように、EUは国境が自由に行き来できる)。
今まではそれこそ鍵もかけない様な平和な町だったのですが、今では鍵はもちろん、庭に高いフェンスを作るようになっているとか。悲しいですね…
実体験より
見ず知らずの人にお金をめぐまない
とある日、スーパーへ買い物へ行く途中、東欧系の男性2人組に声をかけられました。
「(ヴュルツブルグ)駅へはどうやって行けばいい?」と。
えー、それアジア人の私に聞くか?と思いながらも親切に「◯ Linieのバスに乗って行けますよ。バス停はあそこ。」と教えてあげますと、
男:「バス代が無いので(お金を)くれませんか?」と。 はぁ?
私:「Ich habe kein Geld.(お金持ってない)」(今からバリバリスーパーに買い物行くけど)
男:「1€でもいいんです」
私:「Ich habe kein Geld.」
彼らは諦めましたが、しばらくして様子を見ると他の人にも声をかけていました。
本当に駅まで行きたくてお金が無くて困っていたのかもしれませんが、先ず、歩いてでも行こうと思えば行けますし、また、1€だけなら、と思っても、財布を出したところで財布を盗まれるという事件も多いため、「見ず知らずの人にお金をめぐまない」というよりは「見ず知らずの人の前で財布を出してはならない」のです。
女性は一人で夜道を歩いてはいけない
私は、家から街までは通常バスを使っていますが、歩いても30分程度なので、時間に余裕がある時や散歩の気分の時は歩くこともあります。
とある日、街に出た帰り道。
夕方17:30頃、ドイツの冬は真っ暗です。
バスに乗るか歩くかどうしようか考えたのですが、ちょうどクリスマスマーケットが開催されていたので、クリスマスマーケットを見がてら歩いて帰ろうと思いました(バス停とマーケット市場は離れているので、マーケットを見る=歩いて帰ることになる)。
そして帰り道。
分かってはいたけど実感したのが、ドイツの冬は、街の中心は明るいけれど、中心を離れるとドッと暗い(表現がおかしい)。
日本の都市部でも横道に入れば暗いですが、それでも夕方18:00くらいなら他の人もまばらに歩いていますよね。
ドイツは歩いていないんです。
こうなってくると、逆に歩いている人がいる方が怖い。
そしてまさにその状況になりました。
歩いていたのは大通りで(大通りだけど店とかは無い、あっても既に閉まっている)、車はたまに走っていく程度、歩道は木が茂り暗い。
私の前を歩く男性二人組。他に人はいない。
始めは100mくらい離れていたでしょうか。
ある時、彼らがふと後を振り返りました。
そしたら、暫くしてから立ち止まったんです。
「ん?」
私の脳内警戒信号にランプが灯る。
なんだろうとは思いながらも私はそのまま歩いて行き、追い抜く形になりました。
追い抜きざまに様子を見たところ特に何をするでもなく立ち止まっている。
忘れ物でも思い出したのかな、といい方にとり、私はそのまま歩いていきました。
ところが、暫くして振り返ったら、私の後から彼らも歩いてくるではないですか(要するに、ついてきている)。
警戒信号点滅!
しかもこれからどんどん暗い道にさしかかるところ。
家まではあと徒歩10分程で着く距離ですが、その暗い道とガード下を通り過ぎなければならない。
警戒信号 点滅!点滅!点滅!
これはどうしたもんか!
そう思ったところへちょうど横断歩道!
もう咄嗟にその横断歩道を(赤だったけど)向こう側へ走って渡り、来た道をUターンしてバス停まで戻って、結局バスで帰りましたよ。
横断歩道を渡った時点で、それ以上はついてきませんでしたが、これ、どう思いますか?私が勘ぐり過ぎですか?
ちなみにその二人組は白人でしたので難民ではないと思うのですが、ドイツ人かどうかは分かりません。
彼らが何でもないただの通行人だったのなら、それならそれでいいんです。
その場合、怪しんでゴメンナサイですが、でもですね、私は思うのです。
女性の夜道の一人歩きは、全てに警戒して、全てに疑ってかからなければならないと。
いくらドイツが治安がいいとは言え、女性が一人で夜歩いてはいかんのですよ。
まさにそれを身をもって実感した次第です。
在フランクフルト総領事館のメルマガにもこんな1文があります。
直感を大切にしましょう。危険な状況になるかもしれないという自分の感覚は、ほとんど間違いありません。
Forbes Japanの記事でもこんな内容を見つけました。
タクシーの中でもバーでもどこでも、そこにいない方がいいと感じたらすぐにその場を離れるべきだ。特に女性は礼儀正しくしなければと考えるため、「失礼かもしれない」と考えてその場にとどまってしまうことがよくある。本当にトラブルに巻き込まれてしまうよりも、愚かに見えたり失礼な人と思われたりする方がいい。
Forbes Japan
幸い、ドイツはバスやタクシーが危険ということはないので、よい子と女性は暗くなったらバスやタクシーなど交通機関を利用しましょう!
よって、自分が乗るバスの線(Linie リニエ)とその乗り場は覚えておくこと(はい、忘れたのは私です)。
もし乗車時、バスの運転手に念のため確認するなら
「このバスは◯◯ストリートまでいきますか?」
↓ドイツ語で
「Fährt dieser Bus nach ◯◯straße?(フェーァト ディーゼァ ブス ナッハ ◯◯シュトラッセ)」
◯◯straße を地名に変えてもOKです。
在フランクフルト総領事館のメルマガより防犯アドバイス
以下は、在フランクフルト総領事館のメルマガより2016年2月4日に配信されたカーニバルに関しての防犯アドバイスですが、普段の生活にも活用できるので、部分的に抜き出してご紹介します。
「催涙スプレーや違法な武器を所持しないように」という件は、知らない人も多いのでは?
- 酔っ払いや粗暴な集団など自分にとって脅威となり得る集団に遭遇した場合は、多少遠回りをしても、できる限りその集団を避けて下さい。危険を回避することは臆病ではなく、「常識」です。
- 危険な状況だと感じた場合、大声、防犯ブザー及び笛で周囲の注意を引き、第三者に積極的に助けを求めましょう。その際は「そこの青い上着の方、助けて下さい」などと狙いを定めて声をかけましょう。
- 危ない時は立ち去るか、より安全な場所に退避しましょう。安全を確保できた時点で、すぐに110番通報してください。
- 自分が危険な目に遭っていなくても粗暴な集団や人物を目撃した時は、110番通報をして警察に知らせることを躊躇しないで下さい。
- バスや電車の接続を事前に確認しましょう。公共交通機関を利用する際はなるべく前方の車両に乗車し、必要な時には運転手に助けを求められるようにしましょう。タクシーに乗車できる分の現金は持っておきましょう。
- 直感を大切にしましょう。危険な状況になるかもしれないという自分の感覚は、ほとんど間違いありません。ケンカ現場などは避けるようにし、その場から脱出しましょう。
- アルコール摂取と酔っ払いには敏感になりましょう。アルコールは自分の知覚を鈍らせ、危険判断や行動能力を制限してしまいます。
- 逃げ込む場所は商店、ガソリンスタンド、レストランなどが有効です。可能であれば近隣の民家の呼び鈴を鳴らしましょう。
- 言葉で嫌がらせを受けたり、身体的に脅かされた場合は、大きな音を立てることで周囲の注意を引きましょう。簡潔な文章で、例えば「Lassen Sie mich in Ruhe」(こっちに来ないで!)などと一貫して「Sie」を用いましょう。
- 催涙スプレーや違法な武器を所持しないようにしましょう。護身用品を奪われて自分に危険が及ぶことがあります。第三者からは誰が被害者で誰が加害者であるか判断がつかなくなります。防犯スプレーを人に向かって使用して、相手がケガをした場合は犯罪となり、自分が捜査対象になることもあります。全ての武器は銃砲規制法によって定められており、特定の条件下でのみ使用が認められます。銃砲規制法42条により公共のイベントでは使用が禁止されており、もし使用した場合は犯罪に関わる問題となります。
防犯ブザー(操作することで大きな高い音を出す小さなキーホルダー)を使用することは、周囲の注意を引き、相手を困惑させ、その状況から逃げ出す時間を稼ぐことができるため有効です。
緊急時の連絡先は
- 警察:電話110
- 救急・消防:電話112
110は日本と同じなので覚えやすいですね。
なお、万が一被害に遭ってしまった場合には、片言の英語・ドイツ語であってもいいのですぐに110番通報してください。
110した時に伝える言い方を載せておきます。
外で被害に遭った場合
(日本語)もしもし,私の名前は○○です。露出狂/痴漢/泥棒/交通事故/にあいました。発生は○○分前,○○通りと○○通りの角のところです。警察官を派遣してください。
(ドイツ語)Guten Tag. Mein Name ist OOO OOO. Ich möchte eine Meldung über einen Exhibitionisten/eine sexuelle Belästigung /einen Diebstahl /einen Unfall machen. Es passierte vor OOO Minuten OOO Straße Ecke OOO Straße. Bitte schicken Sie eine Streife!
(英語)Hello, my name is OOO OOO. I want to report an exhibitionist/a sexual harassment/a theft/an accident. It happened OOO minutes ago at the corner of OOO Street and OOO Street. Please send a patrol!
在フランクフルト総領事館のメルマガより
家で被害に遭った場合
(日本語)もしもし,私の名前は○○です。住所は○○です。現在私の家に侵入者が来ています。直ちにパトカーを派遣してください。
(ドイツ語)Guten Tag, mein Name ist OOO. Meine Adresse ist OOO. In meiner Wohnung/In meinem Haus ist ein Einbrecher. Bitte schicken Sie sofort eine Streife!
(英語)Hello, my name is OOO. My address is OOO. There is a burglar in my apartment/house. Please, send a patrol car right away!
在フランクフルト総領事館のメルマガより
また、被害届提出時に使える日独併記のフォームが在ドイツ日本国大使館「安全の手引」の最後のページにあるので「被害の詳細や犯人像等を警察官に伝える必要がある時等にご活用下さい」とのことです。