日常

ドイツでのアジア人に対する差別

投稿日:2018/01/06 更新日:

タイトルが、分かりやすいように「日本人差別」としてありますが、日本人というよりはアジア人、また差別という強いものよりは侮蔑・蔑視(要は馬鹿にする)のニュアンスです。

さて、これまでも、ドイツに住んでいて遭遇するアジア人蔑視について書こうと思っていましたが、ちょうど日本で差別に対する論争が巻き起こっているので、この機会に書こうと思います(まぁこの論争も差別というよりは侮蔑だと思いますが)。

ガキの使い 浜ちゃんのブラックフェイス騒動。
なんのこっちゃか分からないという方のために(そんな人いないかな)簡単に説明しますと、
2017年の大晦日に放送された日本テレビの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 大晦日年越しスペシャル!」でダウンタウンの浜ちゃんが、映画「ビバリーヒルズ・コップ」の主演エディー・マーフィーに扮し、黒塗り顔、いわゆるフラックフェイス+縮れ毛で登場したことが論争を巻き起こしていると言うもの。
この論争は英BBCやニューヨークタイムズなど海外メディアでも取り上げられています。

放送直後、日本在住の黒人作家、バイエ・マクニール氏がTwitter上で訴えたのは以下の内容。

#ブラックフェイスで出演する日本の人へ。黒人だというのは、オチや小道具じゃないんだ。ジョークが必要? もっと腕のいい作家を雇って。黒人キャラが必要なら、日本語を話す黒人俳優を雇って。何人かいるから! でもお願いだから、#日本でブラックフェイス止めて。カッコ悪いよ

それに対して、著名人の意見。

先ずはデーブ・スペクター氏。

昔に知らずにやっていたのはいいとして、ただ、今は危機管理上やるべきではなかった。想定しなければいけなかった。
この番組はものすごい予算があるから、本物のエディ・マーフィを呼んだ方がよかった。意外に(呼んで)これたと思う

対するブラックフェイス擁護派、エジプト・日本のハーフタレント、フィフィさんの意見。

黒く塗ると差別だと騒ぐ人達はネガティブなイメージを持ってるのかな?
日焼けして黒人並みにするほど黒い肌に憧れている人もいるし、黒人ファッションも真似てる人もいる。意図によっては批判されるだろうけど、黒人に扮しただけで差別って?そう指摘する人達こそ、優劣を付けて人種を見てる気がする

実際にバイエ・マクニール氏のTwitterやYahooニュースのコメント欄を見て驚いたのが、案外ブラックフェイス擁護派が多いんですね(ブラックフェイス擁護というより、今回の「ガキの使い」に対しての擁護だとも思いますが)。

擁護派の代表的な意見としては「エディマーフィーの真似をしただけであって、どこが差別?」「黒人へのリスペクトであって見下しているわけではない。」「エディーマーフィーはもっとかっこいいやーんってのがオチであって、浜田がエディーマーフィーは無理やろって笑っているだけである。」など。

反対派の意見としては「差別の意図はないとしても相手が嫌がることはやめるべき。」「日本人だって、つり目のジェスチャーやられたらイヤでしょ。」など。

さて、私はといえばブラックフェイス反対派なのですが、擁護派の意見も分かります。
実際に番組は見ていませんが、なんの先入観もなく見ていたら、おそらく私も笑ったと思います。
ただ、先述のバイエ・マクニール氏の投稿を知りハッとしました。

とどのつまり、やはり、
差別の意図はないとしても相手が嫌がることはやめるべき
なんですよ。

フィフィさんの、「日焼けして黒人並みにするほど黒い肌に憧れている人もいるし、黒人ファッションも真似てる人もいる」の意見に反論させていただくならば、それは個人が、本当にそうなりたくて真似しているのだから問題ないと思います。
また、日焼けはファッションなのに対し、塗るという行為がやはりどこか、小バカにしている印象を受けるのだと思います(それは何人が何色に塗るにせよ)。
私的には、ですが、リスペクトの点でシャネルズはOKの範疇ではないかと思っていましたが、やはりNGなんでしょうね。

される側の嫌な例として、比較的柔らかいものから挙げると、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカユタ州で娘の誕生日を日本式に祝ったというものがSNS上で話題になりました(以下画像参照)。

顔を白塗りにして日本風に誕生日を祝うアメリカユタ州の女の子。

問題になったブログを取り上げたサイトのキャプチャー。
クリックでサイトに飛びます。

大元のブログを見れば、化粧の過程や部屋の飾りつけまでが素敵な画像で紹介されており、日本をバカにしているとは一切感じられず、このブログを人種差別だと取り上げて責め立てるのは行き過ぎだと思います(多少勘違いが入っていますが、それはご愛嬌ということで)。
実際に、日本人がフォローを入れたりしています。
でも、初めにこの1枚の写真だけを見た時は「あ、また日本がバカにされてる。」と感じ、いい印象は持ちませんでした。

次に、ドイツでは(もしくは欧米では?)、アジア人を「黄色の顔 + 細目 + 出っ歯 + 傘」のイラストで表現する事が多々あります。
傘というのはベトナムで頭に被る傘、ノンラーを表しているのだと思いますが、書いてある文字は日本の漢字だったりして(しかも意味不明)、そこからも分かる通り、国関係なく、日本・中国・ベトナムその他もろもろ一括りでアジアを表しているようで、画像がなくて残念ですが、実際に出くわすと、嫌ですよ~これ。
たまにフェスティバルのブースでデカデカと飾ってある点から察するに、おそらく人種差別をしている意識はないのでしょう。
彼らから言わせれば、アジア人を表現するにはそれが適切なのでしょう。

もう少し直接的な例をあげますと、ドイツの子どもがアジア人を見かけると「チン・チャン・チョン」とからかいます。
「チン・チャン・チョン」というのは、アジアの話し言葉が「チン」とか「チャン」とか「チョン」とかに聞こえるらしく、それをバカにしたものです。
私もバスで出くわした小学生軍団にやられたことがあります。

「チン・チャン・チョン」詳細は、ドイツと日本のハーフ、サンドラ・ヘフェリンさんのブログを是非ご覧ください。とても興味深い内容になっています。

細目を表す「目をビーッと吊り上げる」動作はもう有名ですね。
あちらこちらの海外スポーツ選手がやっていたり、世界的に有名な女性誌『Glamour』ブラジル版のスタッフが堂々とやってのけている点から察するに、彼らにも人種差別をしている意識は、おそらくないのでしょう(炎上後に謝罪はありましたが)。

外国人がアジア人を表すつり目ポーズ

女性誌『Glamour』ブラジル版のスタッフによる、アジア人を表すつり目ポーズ。

他はもう載せるのもうんざりするので、「海外 スポーツ選手 つり目」で画像検索してください。

外見的な話ではないけれど、手を合わせて拝むポーズも、正直カチンときます。
実際、日本人は手を合わせて拝みますよ、拝みますけれども、何も知らない人にやられて、バカにされている以外に何を感じますかっての。
イスラム教の人に向かって、ひざまずき礼拝のポーズをするのと同じですよ。

上記のサンドラさんのブログでも書かれていますが、

~略~
ドイツでもね、ホロコーストの過去があったから、子供がユダヤ人ジョークを言ったら即、退学勧告を受けるほど大人も皆目を光らせているし、黒人に対しても、肌の色の事をからかったら、注意に入る大人やドイツ人も多いんだよね。実際に、ドイツのメディアで取り上げられたりね。
 
ところが、アジア系に対する、チンチャンチョンや目をビーっとやるのは、子供を注意しないドイツ人が多い。みんなね、「それぐらい、いいじゃない?ふざけてるだけだしさ。」という雰囲気。あとは「アジア系はかわいいから、からかってるだけよ。」とか、なんだか凄く低く見られている気がします。はぁ(タメ息)。

先述の、私がバスで「チン・チャン・チョン」をやられた時も、付き添いの大人は一切注意せず(気にもとめず)、逆に私の前に座っていた若い男性が心配そうに気にしてくれていました。

ドイツでは(もしくは欧州では)、ナチスに関すること、ユダヤ人、黒人への差別は歴史上の問題もあることから敏感になっていますが、アジア人への侮蔑は気に留めていない。
要は、人種差別だと思っていないのでしょう。彼らから言わせれば、ただアジア人を表現しているだけ。

ここでようやく話が戻りますが、それは、「黒人を表現するには顔を黒くするしかないじゃん。」というブラックフェイス擁護派の意見と同じです。

そうですね、その人種を表現するには、その人種の特徴を誇張するしかないですよね、でも、される側は本当に嫌ぁぁぁ~な気持ちになるのですよ。

よって、結論。
される側がやめてと言うのだから、やめるべき。

ブラックフェイス擁護派は、幸せな人種だと思います。
一度海外に出て、上記のような事態に遭遇してみると、される側の気持ちが分かると思います。

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